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相続放棄ができなくなった日-相続放棄の落とし穴-【相談実例】

1. 父の預金を引き出した“たった一度”の行為
-相談実例-

当事務所に相談に来られたのは、50代の女性Aさん。

お父様が亡くなってから数日後、生活費の足しにと、父名義の預金10万円を引き出して使われたそうです。「父が残してくれたお金だから」と軽い気持ちで引き出したその行為が、後に人生を大きく変えることになりました。

2. 想像を超える借金の発覚

葬儀が終わって少し落ち着いた頃、銀行や金融会社から請求書が届き始めました。

最初は数十万円程度の借金でしたが、その後、見たこともない社名の保証会社から1通の封書が届きます。中には、数千万円に及ぶ請求額が記載されていました。内容は「お父様が取引先の連帯保証人になっていた」というもので、Aさんはこの時初めて、その存在を知ったのです。

Aさんは、目の前が真っ白になり、封筒を持つ手は震えて止まりませんでした。

3. 相続放棄ができない現実

相続放棄は、「相続を承認していない状態」でのみ可能です。

しかし、Aさんは既に父の預金を引き出して使用しており、法律上「単純承認」とみなされました(民法921条1号)。

家庭裁判所に相談しても、「相続放棄はできない」と告げられるだけ──。その瞬間、数千万円という莫大な借金が、自分の肩にのしかかることになったのです。

4. そして自己破産へ

Aさんは返済の見通しが立たず、最終的には自己破産を選ばざるを得ませんでした。「父の死後のわずかな行動で、人生が一変するなんて思いもしなかった」「ネットの情報を鵜呑みにせず、弁護士の先生に早く相談していれば…」Aさんは涙ながらにそう語りました。

もしAさんが、お父様が亡くなった直後に当事務所へ相談に来られていれば、

・預金や不動産などの遺産には一切手を付けないよう指示
・銀行、債権者、保証会社への照会で、借金や保証債務の全容を早期に把握
・期間内に相続放棄の申述を確実に実行

こうした対応で、数千万円の負債も、自己破産という選択も避けられたはずです。

5. 当事務所からのメッセージ

ネットには、「相続放棄は簡単な手続であり、自分でもできる」という無責任な情報が氾濫しています。

しかし、そこには様々な落とし穴があります。

「もしかしたら故人に借金があるかも」と少しでも頭をよぎったら、否、万全を期するならば、相続が発生したら、遺産には触れず、すぐに弁護士に相談してください。

その一歩が、未来の生活を守る分かれ道になります。

 

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