1. モラハラ離婚で「全部」を戦わないという選択
「モラハラが原因で離婚したい」──そんなご相談は、本当に増えています。
モラルハラスメントは、暴力ではなく言葉や態度でじわじわと相手を追い詰めるため、証拠が残りにくいこと、また、上下関係ができてしまうため、「私が悪いのかな…」と思い込んで、なかなか離婚を切り出せないこともあります。
まずは、モラハラ加害者に多い特徴を整理してみましょう。
• 自分は悪くないと思っている(だから謝らない、責任を認めない)
• お金に極端にケチ(数百円や1円単位でも渋る、お金を隠す)
• 言葉や態度で相手を支配する(無視、威圧、皮肉など)
• 論点をすり替える(指摘されると別の非を持ち出す)
• 過去の出来事を何度も蒸し返す(一度の出来事を何度も責める)
• 相手の自尊心を削る(「お前はダメだ」など否定的な言葉が多い)
こんな相手と、すべてのことを正面から争ってしまうと、心もお金もすり減ってしまいます。
2. 謝罪や慰謝料にこだわりすぎない
モラハラ加害者は、そもそも「自分は悪くない」と思っているので、謝罪や責任を認めることはまずありません。
さらに、お金にケチなため、慰謝料の支払いに応じる人は皆無です。ここにこだわりすぎると、本当に大事な財産分与や面会交流の話が止まってしまい、肝心な離婚の話が進まなくなってしまいます。
3. 優先するのは「生活の立て直し」と「早く離婚すること」
モラハラ離婚では、離婚後の生活を守る条件に力を注ぎましょう。
財産分与は法律で原則2分の1ずつと決まっているので、ここは相手も最終的には納得せざるを得ません。まずはこの部分をしっかり押さえて、交渉をすることが大事です。
また、婚姻費用の請求も有効な手段です。婚姻費用は養育費より高額になるため、特にお金に細かいモラハラ夫にとっては大きな負担になります。これを請求することで、「長引かせるほど損をする」と意識させ、早期解決につなげやすくなります。
一方で、譲っても生活に支障がない部分については、固執せず柔軟に対応することも大切です。つまり、
1. 法律で確実に取れる部分を押さえる
2. 相手が嫌がる条件を交渉カードにする
3. 不要な争いは避け、譲れるところは譲る
この3つのバランスが、モラハラ離婚を有利かつスムーズに進めるコツです。
4. 「勝つ」より「抜け出す」
モラハラから離れることは、戦いでありながらも“撤退”です。
全部を勝ち取るより、必要なものを確保して早く自由になることこそ、人生を取り戻す近道です。
もちろん、本来もらえるはずのお金を受け取ることは大事です。
でも、モラハラ夫と離れたあとに待っている、自由で平穏な毎日には、お金では測れない価値があります。
その価値を手に入れるために、どこで踏ん張り、どこで手を引くのか、それを見極めることがとても大切です。
5. 一人で抱え込まないで
モラハラ加害者と被害者との間では、上下関係ができてしまってるため、直接交渉をしてもほとんど話が進みません。
弁護士が間に入ることで、相手との接触が減り、心理的な負担がぐっと軽くなります。さらに、法的な立場から交渉を進められるので、解決までの時間も短くなることが多いです。
もし今、「どう動けばいいのかわからない」と感じておられるなら、まずはモラハラに詳しい弁護士にご相談ください。一緒にあなたの生活を立て直すための道筋を整理し、安心して新しい一歩を踏み出せるようにサポートします。