MAP
Web予約
離 婚

面会交流を考えるときに一番大切な視点

1. 子どもの幸せのために

「面会はさせてあげた方が良いと思います」
私は、離婚や別居の相談を受けるときに、そう答えることが多いです。

なぜかといえば、とても単純な理由です。
子どもにとって「嫌いな人が一人でも少ない方が」人生はきっと豊かで、幸せになると思うからです。

この記事では、面会交流に関する数多くの問題を解決してきた弁護士が、沢山の子ども達に直接触れ合ってきた経験を通じて、面会交流を考える上で最も大切な視点を解説します。

2. 「でも、あの人はひどい人ですよ?」という声にどう答えるか

もっとも、「面会はさせてあげた方が良い」と言うと、よく返ってくる反応があります。
「相手がひどい人でも、面会させた方がいいんですか?」というものです。

もちろん、例外はあります。
たとえば、虐待があった場合や、子ども自身が強く嫌がっている場合には、面会を制限したり中止したりするのが適切です。
しかし、そうした事情がないのに、親の気持ちだけで「会わせない」と決めてしまうのは、果たして懸命でしょうか。

3. 親と子どもは「別の人格」

私が面会交流を考えるときに、意識している視点は、

たとえ親子であっても、それぞれが「別の人格」である、という視点です。

友人関係に置き換えてもらえるとわかりやすいと思いますが、あなたにとって合わない、嫌いな相手でも、子どもにとっては、「案外合う」「好きだ」と思う存在であることが、往々にしてあるからです。

4. 子どもには「自分で感じて考える力」がある

大事なのは、子どもには「自分の目で見て、心で感じて、頭で考えて判断する力」があるということです。

私はこれまで、依頼者のお子さん達と、一対一で話す機会を何度も経験してきました。
その中で強く感じるのは、子どもは親が思っている以上に、親のことをよく見ているということです。

親の性格や行動の特徴を驚くほど冷静に理解していたり、大人が想像する以上に物事を整理して考えていたりすることも少なくありません。

一方で、子どもはとても敏感に「親の気持ち」を察しています。
「お母さんが嫌がるから言わないでおこう」
「お父さんを怒らせたくないから合わせておこう」
──そうやって、親の心を伺いながら言葉や態度を選んでいる姿にも出会います。

だからこそ、親が、親の感情で面会交流を決めることは、子ども自身の判断の芽を奪うだけでなく、子どもを“親の感情に縛られたまま”にしてしまう危険があります。

子どもには、自分の目で親を見て、心で受けとめ、頭で考えながら「好き」「嫌い」を決める力があります。
子どもが親を「好きになる自由」、子どもが親を「嫌いになる自由」、その両方の自由を尊重してこそ、子どもは本当に自立していけると思います。

5.  養育費と面会交流は「法律上は別」だが「現実には連動する」

ここで、少し現実的な側面についても触れておきたいと思います。

法律上、養育費の支払いと面会交流の実施は、別個の権利義務として取り扱われます。
つまり、養育費を支払っていなくても面会交流を求めることはできるし、面会交流を拒否したからといって、養育費の支払義務が免除されることはありません。

しかし実務の現場では、両者が“心情的に強く影響し合っている”ことも事実です。

「子どもの成長を直接見ることができるから、支払いを頑張ろうと思える」
「勉強を頑張っている姿を見ているから、進学費用を負担してあてたいと思う」
──そういった前向きな気持ちが、養育費の支払いを支えるケースは少なくありません。

反対に、長期間会えない状態が続くと、
「今の生活がわからない」「どうせ会えないのだから」と関心や責任感が薄れてしまうこともあります。

その意味でも、面会交流は“子どもの権利”であると同時に、結果として、養育費の支払いを支えることにもなっているのです。

6. 子どもの感性を信じるということ

私は、子どもが持つ感性をもっと信じてあげてほしいと思います。
子どもには、自分の人生を自分で切り拓く力があり、その一歩として「親との関係をどう築くか」を選ぶ自由があるはずです。

面会交流は、親のためだけのものではなく、子どものための時間です。
だからこそ、子ども自身の選択と成長を尊重する視点を忘れずにいたいのです。

7. まとめ

「面会交流をさせるべきか否か」──この問いに対して、唯一の正解はありません。

離婚や別居の過程では、感情のもつれから「会わせたくない」という気持ちが強くなることもあると思います。

しかし、子どもとあなたは、別の人間です。
子どもには自分の目で見て、心で感じて、頭で考えて判断する力があります。その力は、大人が信じ、尊重してこそ大きく育っていくと思います。

子どもの力を信じて、子ども自身に親との関係を築く自由を与えてあげること。 面会交流を考えるときには、“子ども自身の感じる力や考える力”に委ねるという観点を、ぜひ一度立ち止まって考えてみていただきたいと思います。

 

離婚のサポートページはこちら»

 

関連記事

PAGE TOP