1. はじめに
不定期で、離婚に関する基本的な疑問にQ&A形式でお答えする「離婚ミニ講座」をお届けしています。数多くの離婚事件を解決してきた弁護士が、堅苦しい法律解説ではなく、離婚するにあたって知っておくと安心なポイントをコンパクトに解説します。
前回は「協議離婚にかかる費用」について解説しました。今回は、どのような場合に公正証書を作成しておいた方が良いか?というお話の前提として、「普通の離婚協議書と公正証書の違い」について見ていきましょう。
2. 普通の離婚協議書と公正証書の違い
公正証書と普通の離婚協議書、この2つは、どちらも“約束を書面にしたもの”なのですが、その効果に大きな違いがあります。
それは、金銭の支払いが滞ったら、すぐに強制執行できるという効力、「執行力」があるかどうかです。
普通の離婚協議書は、夫婦が、合意した内容を書面に書き、その書面に、夫婦二人が署名押印をすれば、作成することができます。特に、定まった形式はありません。
しかしながら、普通の離婚協議書しか作っていない場合、もし相手が支払いをしてくれなかったら、まずは、裁判を起こさないと強制執行(差押え)ができません。
一方、公正証書は、「金銭の支払いが滞ったら、すぐに強制執行できる」という効力(執行力)があります。
そびたね、夫婦で合意した内容を公正証書にしておけば、たとえば、相手が養育費の支払いを滞ったような場合、わざわざ裁判を起こさなくても、すぐに差押えの手続を執ることができるところができます。
この執行力が、離婚をした場合は、公正証書を作った方が良いといわれる所以です。
さて、いよいよ次の記事では、以上を前提に、どのような場合公正証書を作成した方がいいのか、を解説します。
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