知財の刑事弁護士
神戸北町通り法律事務所は、知的財産法に注力する弁護士(弁護士知財ネット会員)が、著作権法違反、商標法違反、不正競争防止法違反など、知的財産に関する刑事事件に総合的に対応しています。
知的財産をめぐる刑事事件は、単なる刑法犯と異なり、構成要件や証拠構造が複雑で、法的評価にも専門的な判断が求められる分野です。被疑者・被告人の立場からは、法的リスクを的確に把握し、早期の対応によって不起訴や身柄解放、量刑軽減を実現するための高度な弁護活動が不可欠です。
一方で、知的財産権の侵害を受けた権利者にとっても、告訴の成立や刑事和解、損害賠償命令の申立てなど、刑事手続を通じた実効的な被害回復には、精緻な証拠の収集・整理に基づく法的戦略が求められます。
当事務所は、加害者側・被害者側を問わず、知的財産法に関する豊富な知識と経験に基づき、実務に即した的確な助言と手続支援を提供しています。
知的財産に関する刑事事件は、当事務所にご相談ください。
取扱事件
①商標法違反、②不正競争防止法違反、③著作権法違反、④特許法違反、⑤意匠法違反、⑥不正アクセス禁止法違反、⑦関税法違反、⑧その他、知的財産に関係する法規の問題であれば対応いたします。
全国対応
当事務所は、日本全国の知的財産に関する刑事事件に対応しています。来所が難しい場合は、オンライン面談(Zoom)による法律相談をご利用ください。遠方であっても、必要に応じて、弁護士が交渉や裁判を代理いたします(別途、日当や交通費など実費が必要になる場合があります)。
業務内容
Ⅰ.捜査弁護
事前アドバイス
当事務所は、捜査機関による事件発覚前または未逮捕の段階においても、相談をお受けしています。警察から呼び出しを受けた方や、自己の行為が犯罪に該当するか不安を抱える方に対し、弁護士が事実関係を聴取の上、ご相談の行為が罪に当たるのか、あたるとすればどのような罪になりうるのか、専門的な視点からご説明いたします。
また、逮捕の可能性や呼出対応、取調べの進め方、自首・出頭の是非、被害者との示談可能性などについて、専門的な助言を行います。必要に応じて正式に受任し、事情聴取への同行や捜査対応、示談交渉、自首・出頭への同行支援などの実務的サポートも可能です。
接 見
警察に身柄を拘束(逮捕・勾留)されている場合、弁護士が速やかに留置施設を訪問し、本人と面会します(これを「接見」といいます)。接見では、本人から詳細な事情を聴取し、事件の背景や経緯を把握した上で、取調べへの適切な対応方法や、今後の捜査手続の見通しについて助言を行います。
取調べは連日にわたって続くのが通常であり、供述内容はその後の勾留・起訴の可否、さらには最終的な処分に大きく影響します。そのため、当事務所の弁護士は、初回の接見だけでなく、状況の変化に応じて継続的に接見を重ね、常に最適な対応ができるよう、精神面のフォローも含め、実践的な支援を行います。
釈放弁護
逮捕後は、検察官による勾留請求と裁判官の判断により、最大20日間の身体拘束が続く可能性があります。このような勾留を回避し、早期の釈放を実現するためには、短時間のうちに的確かつ説得的な資料や事情を整えることが不可欠です。
当事務所の弁護士は、ご依頼人が社会生活を営む上での具体的な事情(定職への復帰の必要性、家族のケア、社会的信用の維持等)を把握した上で、それを裏付ける証拠資料を迅速に収集・整理します。また、被害者への弁償や示談交渉が可能な場合には、その進捗状況や結果を裁判官に示し、勾留の必要性が乏しいことを積極的に主張するなど、身柄の早期解放に向けて最善を尽くします。
不起訴弁護
捜査段階では、身柄の拘束の有無にかかわらず、なによりも不起訴処分(検察官が被疑者を刑事裁判にかけない処分)を獲得することが最大の目標となります。不起訴処分には、大きく分けて「嫌疑不十分」と「起訴猶予」の二つの類型があります。
当事務所では、事件の内容や依頼者の状況を的確に把握し、どちらの型を目指すべきかを見極めたうえで、速やかに対応に着手します。嫌疑不十分を狙う場合は、接見を通じて取調べへの助言を行い、不利な供述がなされないよう対応しつつ、弁護側で有利な証拠を収集・提出するなどして、証拠上の疑いを払拭する活動を行います。
一方、起訴猶予を目指す場合は、被害者との示談、謝罪、損害賠償、再発防止策の提示などを通じて、検察官に「裁判にする必要がない事情」を積極的に示していきます。いずれの場合も、早期対応が不起訴獲得の鍵となります。不起訴に向けた弁護活動をご希望であれば、早期にご相談下さい。
Ⅱ.公判(裁判)弁護
保釈請求
不起訴処分ではなく、起訴(検察官によって、刑事裁判にかけられること)されてしまい、その後も身体拘束が続く場合には、「保釈」によって身柄の釈放を目指します。保釈とは、一定額の保釈保証金(保釈金)を裁判所に納めることで、勾留を解かれ、在宅で裁判を受けることができる制度です。
保釈金(一般的な事案では150万円~300万円が相場です)は、逃亡や証拠隠滅といった行為がなければ、裁判終了後に返還されます。当事務所では、ご依頼人に逃亡や罪証隠滅のおそれがないこと、家族のもとで安定した生活基盤があること、早期の社会復帰が必要であることなどを丁寧に主張するための資料を整え、速やかに保釈請求を行います。
量刑弁護
罪を認めている事件では、実刑を回避し、できる限り軽い刑となるよう弁護活動を行います。中でも執行猶予付き判決を得ることは重要な目標であり、その実現には複数の要素が関わります。
当事務所では、まず被害者への謝罪や被害弁償、示談の成立に尽力し、その結果を裁判所に提出します。さらに、再犯のおそれがないことを示すため、反省の意思や更生に向けた環境(家族の支援、就労状況、治療継続など)を整え、裁判所に対して具体的な改善状況を丁寧に説明します。
事件によっては、共犯関係の中での立場や関与の程度、犯行態様の悪質性の有無を争点とし、責任の軽さを示すことも有効です。前科がある場合でも、経過年数や事情次第では執行猶予が付される可能性があり、再犯の背景事情に対する治療的アプローチや、家族を含めた支援体制の強化により、裁判所の理解を得ることも可能です。当事務所は、ご依頼人一人ひとりの事情に応じて、最も効果的な情状活動を構築し、実刑回避・刑の軽減に向けて全力で取り組みます。
無罪弁護
無罪を主張する事件では、検察官の立証に対し、法的・技術的に徹底して対抗し、無罪判決の獲得を目指します。否認事件では、取調べ段階から裁判に至るまで、全局面において高度な弁護活動が求められます。
当事務所ではまず、黙秘権の行使を含めた取調べ対応の戦略を構築し、ご依頼人が不利益な供述を強いられないよう助言と支援を行います。これには、黙秘すべき場面の見極めや、適切な供述のあり方を含め、長年の実務経験に基づいた精緻な判断が必要です。
さらに、公判では検察側証拠の信用性を厳しく検討し、必要に応じて証人尋問を実施します。特に目撃証言などの争点に対しては、巧みな尋問技術により証言の不自然さを明らかにし、裁判所に無罪の合理的疑いを与えることを重視します。無罪判決の獲得は容易ではありませんが、当事務所は綿密な事実調査と緻密な法廷戦略により、依頼者の正当な利益を守るため、全力で弁護に臨みます。
ⅲ.被害者支援
告訴・告発
知的財産侵害に対する刑事的対応を求めるには、被害者自らが告訴を行うことが必要な場合があります。たとえば、著作権法違反や商標法違反の一部は親告罪に分類されており、告訴がなければ起訴に至らない法的制限が存在します。
さらに、知的財産法違反における犯罪は、構成要件や事実関係が複雑であることが多く、単に違反を訴えるだけでは捜査機関に受理されないことも少なくありません。捜査機関に告訴を受理させるには、対象行為の特定、侵害の態様や継続性、損害の内容と発生過程、証拠の真正性など、相当量かつ多角的な証拠を収集した上で、法的主張と共に明確に提示する必要があります。
当事務所では、このような知財犯罪の専門性・技術性を踏まえ、形式的な告訴状の作成支援にとどまらず、捜査機関に告訴を受理させるための、実質的な告訴支援を行っております。
損害賠償命令
刑事事件の審理に付随して、被害者が加害者に対して民事上の損害賠償を求めることができる制度として、損害賠償命令制度があります。これは、刑事判決の確定を待たず、簡易迅速な手続で民事上の賠償を請求できる仕組みで、知財事件の被害者にとっても実務上有用な制度です。
当事務所では、損害額の算定、証拠資料の整備、申立書の作成、訴訟代理まで一貫して対応しています。知財分野では、損害額の算定が複雑になりがちですが、売上・市場価値・逸失利益・信用毀損の度合いなど、多角的な視点から合理的な請求を組み立てます。
刑事手続の流れ
刑事事件の手続は、大きく「捜査」「公判」「判決・上訴」の各段階に分けられます。以下にその概要をご説明いたします。
【1】捜査の開始(端緒)
警察や検察などの捜査機関が、犯罪の可能性を把握すると、捜査が始まります。捜査開始のきっかけには、被害届の提出、被害者からの告訴、目撃者などによる通報、あるいは警察の職務質問中に発覚するケースなどがあります。
【2】捜査段階の分類
捜査は、被疑者の身体拘束の有無によって、以下の二つに分けられます。
(1)在宅捜査
被疑者を逮捕せず、任意に呼び出して取調べを行ったり、関係者からの事情聴取や証拠収集を行う方法です。身柄拘束を伴わない分、社会生活への影響は軽減されますが、後日逮捕に至ることもあります。
(2)逮捕・勾留を伴う捜査
被疑者が逮捕された場合、警察による最大72時間の拘束後、検察官が裁判官に勾留を請求することができます。裁判官が認めれば、さらに最大20日間の身体拘束が継続されます。
この期間中、集中的な取調べや証拠収集が行われます。
※在宅捜査から身柄拘束に切り替わる場合や、逮捕された後に釈放されて在宅のまま手続が続くこともあります。
【3】処分の決定:起訴または不起訴
捜査終了後、検察官が証拠等を精査し、次のいずれかの判断を下します。
・正式起訴(公判請求):裁判に付されます。
・略式起訴:罰金により終結する手続(裁判官の書面審査)。
・不起訴処分:嫌疑不十分や起訴猶予により、裁判に進まず事件終了。不起訴となれば、身柄拘束を受けていた場合も釈放されます。
【4】公判段階(裁判手続)
起訴されると、被疑者は「被告人」として裁判手続に入ります。
裁判の進行期間は、事件の性質や争点の有無によって異なります。
・罪を認めている事件:1~2か月で終結することが多いです。
・否認事件や重大事件(裁判員裁判等):3か月から数年単位に及ぶ場合もあります。
この段階では、検察官・弁護人の双方が証拠を提出し、証人や被告人の供述を聴取するなどして、事実認定と量刑判断が行われます。
【5】判決と上訴の流れ
審理が終わると、裁判所から判決が言い渡されます。
結果に不服がある場合、次のような不服申立てが可能です。
・控訴:第一審判決に対する不服申立て(高等裁判所)
・上告:控訴審判決に対する不服申立て(最高裁判所)
控訴や上告が行われない場合、または上訴審で最終判断が出た場合には、その時点で裁判の結果が確定します。
早めにご相談ください
知的財産に関する刑事事件は、構成要件が複雑で、事実認定に高度な専門的判断が求められる分野です。逮捕や捜索といった強制捜査が行われる段階では、既に相当の証拠収集が進められている可能性が高く、適切な初動対応を誤れば、その後の手続に重大な影響を及ぼしかねません。
家族が逮捕された、会社や事務所が家宅捜索を受けた、あるいは自分自身が著作権法違反や商標法違反といった事件に関与しているかもしれない――そのようなときは、迷う前に、まずは当事務所へご相談ください。
刑事手続は、逮捕から72時間以内に勾留の是非が判断される極めて重大な局面を含んでおり、早期に弁護士が選任されることで、身柄拘束の回避や、取調べへの適切な対応を図ることが可能となります。証拠の収集や弁解録取への対応、必要書類の準備など、限られた時間の中で迅速かつ戦略的に対応する必要があります。
一方、知的財産権を侵害された側にとっても、被害届や告訴の提出、刑事和解、損害賠償命令の申立てといった法的対応には、正確な証拠の整備と高度な専門知識が不可欠です。告訴を有効に受理させ、刑事責任を追及するためには、侵害行為の実態と被害の範囲を的確に把握し、捜査機関に納得させるだけの資料を提示しなければなりません。
当事務所は、知的財産分野に特化した刑事弁護と被害者支援の双方に対応し、立場を問わず、迅速かつ実務的なサポートを行っています。事件への対応を誤らず、適切な手続と救済を得るためにも、できるだけ早い段階でのご相談をおすすめします。