MAP
Web予約
倒産法

【法人破産】法人破産のタイミングを見極める方法

1. 事前相談がカギ

「法人破産をする」と決めたとしても、資金をどの程度確保できるか、従業員や取引先への影響をどこまで抑えられるか──このタイミング次第で、結果は大きく変わります。

だからこそ、「どの時点で手続きを始めるのが最も有利か」を見極めることが、再スタートへの条件を整える上でも欠かせません。

この記事では、法人破産の実務経験豊富な弁護士が、費用確保や従業員・取引先への影響を最小限に抑える最適なタイミングと判断ポイントを専門家の視点から解説します。

2. タイミングを誤った場合の主なリスク

⑴ 破産費用の不足

破産費用として、まず思い浮かべるのは弁護士費用や裁判所に納める予納金です。
これらの費用は、会社の規模や負債額、債権者数によっても異なりますが、代表者個人の破産手続と合わせると100万円〜200万円程度の費用がかかります。もっとも、それ以外にも費用が必要になることがあります。

たとえば、借りている事務所や店舗、倉庫などの原状回復費用や什器・備品の撤去費用は、多くのケースで発生します。

また、在庫については、破産申立後、管財人へ引き継ぎ、管財人が換価処分を行うことが原則ですが、例えば、 生鮮食品など品質劣化が早いものについては、保管コストを考えた場合、引取先が見つからない場合、早期に処分する方が望ましいため、処分費用がかかる場合があります。産業廃棄物が残置されている場合は、産業廃棄物の処分費用もかかります。

どれくらいの費用がかかるかは、会社の業務形態によって異なりますので、いざ破産するというタイミングになって慌てないよう、あらかじめ法人破産に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

⑵ 従業員対応──生活への影響と経営者の思い

従業員を解雇する場合、法律上は1か月前に予告するか、予告期間を置かずに解雇する場合には1か月分の解雇予告手当を支払う必要があります。

また、未払になっている給料については、「未払賃金立替払制度」を利用することができます。

しかし、長年会社に貢献してくれた従業員に対し、解雇予告手当も支払わずに退職させることは、その後の生活に大きな影響を与えます。

多くの代表者の方は、破産という厳しい状況であっても、従業員の生活や今後を案じる気持ちをお持ちです。

そのため、どうしても資金を捻出できない場合はやむを得ませんが、可能な限り、解雇予告手当分くらいは事前に用意して支払うことが望ましいといえます。

これは従業員にとっての生活の安定だけでなく、代表者自身が納得感をもって事業整理を進めるためにも重要です。

⑶ 取引先対応──信頼とリスクのバランスを取る

会社が破産に向かうとき、従業員と並んで影響が大きいのが「取引先」です。

特に長年取引してきた仕入先や得意先との関係は、経営者にとっても大切な財産です。だからこそ、「最後まで誠実に対応したい」と考える方は少なくありません。

しかし、誠実さだけでは解決できない法的なリスクが存在します。
たとえば──

①資金繰りが急激に悪化するリスク

• 破産の予定を早く伝えすぎると、取引停止や売掛金の早期回収が一気に進み、資金繰りが急激に悪化するおそれがあります。

②偏頗弁済のリスク

• 特定の取引先にだけ未払いを優先的に支払ってしまうと、偏頗弁済(へんぱべんさい)とみなされ、後から、取引先が、管財人に責任追及をされて、かえって取引先に迷惑をかけるリスクがあります。

3. 重要なのはタイミングの判断

ここで大事なのは、「従業員や取引先への影響を最小限にしつつ、破産費用を最大限確保できるタイミング」を見極めることです。

特に、日本の多くの商業取引は売掛・買掛の仕組みを取っており、売掛金の入金は請求から1〜2か月後になることが一般的です。

そのため、

⑴ 売掛金の入金予定日
⑵ 債権者への支払日
⑶ 税金・社会保険料その他の公租公課の支払日
⑷ 給料の支払日
⑸ 取引先への支払日など

これらのスケジュールをすべて踏まえたうえで、「どの時点で申立てるのがベストか」を判断する必要があります。

この判断には、資金繰りの全体像や契約条件を正確に読み解く、法律の専門家であり、法人破産の実務に精通した弁護士の視点が欠かせません。

4. まとめ

破産は「するか・しないか」だけでなく、「いつするか」が結果を大きく左右します。

費用確保、従業員や取引先への配慮、資産価値の維持──これらを両立させるには、最適なタイミングを見極めることが不可欠です。

もっとも、売掛・買掛の回収や支払いのサイクル、契約条件、資金繰りの全体像を見通すためには、専門的な判断が欠かせません。代表者ご自身が納得のいく形で手続きを進めるためにも、早めに法人破産に詳しい弁護士へご相談されることをおすすめします。

 

法人破産のサポートページはこちら»

 

関連記事

PAGE TOP