Q:親権とは何ですか?
A:親権とは、子どもの利益のために、子どもを監護・教育する権利と義務のことをいいます。
なお、「親権者」でなくなったとしても、「親子」でなくなるわけではありませんので、親権のない親が死亡した場合でも、子どもには相続権が発生しますし、面接交渉権といって、親が子どもと面会する権利も認められます。
Q:親権はどうやって決めるのですか?
A:父母が離婚するときには、父母のどちらかの一方を親権者として定めることになります。
父母の協議で親権者が決まればよいのですが、協議が調わない場合には、家庭裁判所に調停の申し立てをすることになります。
調停でも合意に至らない場合には、家庭裁判所が審判で父母のどちらを親権者にするかを決定することになります。
また、すでに離婚訴訟になっている場合には、離婚訴訟の判決の中で、親権者を父母のどちらにするのかが決定されます。
裁判所は、子どもの年齢や父母のこれまでの養育状況、今後の養育に対する姿勢や意欲、経済力や仕事の状況などを総合して、子どもの利益や福祉にとって、どちらがより望ましいかという観点から、親権者を判断します。
Q:親権者を後から変更することはできますか?
A:まず、離婚の際に一旦決まった親権者を、父母の協議で後から変更することはできません。
そこで、親権者を変更するためには、家庭裁判所に親権者変更の申立てをしなければなりません。
しかし、簡単に親権者を変更する決定はされません。
現在の家裁実務では、親権者である親が、子どもに暴力をふるっている、生命・身体に害を及ぼすような劣悪な環境に住まわせている、育児を放棄している、学校に通わせていないなど、子供の利益を害する余程の事情がなければ親権者の変更は認められないと考えておくべきです。
このように、親権者の変更は不可能ではないものの、かなり難しいことは事実ですので、最初に親権者を決める際に、後で後悔することがないよう、安易に決めるのではなく、しっかりと考えて決めることが一番です。
Q:面接交渉(面会交流)権とは何ですか?
A:面接交渉(面会交流)権とは、親が子どもと面会する権利のことです。
前述の通り、「親権者」でないからといって、「親」でなくなるわけではありませんから、子供と面会する権利は親権者でない親にも認められます。したがって、面接交渉権を相手が理由なく妨げれば、場合によっては損害賠償を請求することができます。
さらに、相手方の妨害が余りにもひどい場合には、これを重要な要素の一つとして考慮することで、親権者の変更が認められる可能性もあります。ですから、親権者の変更が難しい場合であっても、親権者との間で、子供に会うための条件(日時・場所・回数等)をしっかりと決めましょう。
面接条件を決める方法ですが、相互の話し合いで面接の条件が決まればそれで良いですが、ダメなら家庭裁判所に調停を申し立てて、裁判所に間に入ってもらった上で話し合いをします。
さらに、調停でも話し合いがまとまらなければ、最終的には裁判所が審判で面接条件を決めることになります。
この条件は、夫婦それぞれの職業や収入・子供の年齢や心情、監護の状況などを総合的に判断して「子供の成長にとって望ましいのはどのような条件か」という観点から決められます。
子供の成長に望ましい面接条件にするためには、裁判所を感情論ではなく、法律に基づく論理で説得しなければなりません。子供に関する問題は、子供の人生に関わる繊細な問題なので、裁判所を説得するには、証拠に基づくかなり緻密な主張が必要です。
どのような証拠を集め、どのような主張をすれば裁判所を説得できるのか、場合によっては弁護士に依頼した方が良いのかを含めて、一度は離婚問題の経験豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。