Q:調停離婚とは何ですか?
A:調停離婚とは、家庭裁判所での調停において、夫と妻が離婚することに同意し、その内容を書いた調停調書を裁判所に作成してもらって離婚することをいいます。
調停とは、夫婦だけで話し合ったものの離婚の合意ができない場合や、そもそも夫婦だけで話し合いをすることが難しいという場合に、第三者である裁判所に間に入ってもらって、離婚の話し合いをする手続きです。
なお、調停で離婚が成立した場合には、調停成立から10日以内に離婚届と共に調停調書謄本を添えて、市区町村役場に提出しなければなりません。
Q:調停の流れを教えてください。
A:①担当の調停委員(男女2名、担当は裁判所が決めるため、当事者が調停委員を選ぶことはできません。)が中心となって夫婦双方の話を聞いて、②離婚の合意や財産分与等の離婚の条件についてそれぞれの意見を調整し、③夫婦相互が離婚について合意した場合には、④調停調書が作成される、という流れになります。申立費用は、通常、数千円程度で済みます。
なお、調停は、訴訟と違って非公開なので、話の内容が他人に聞かれることはありません。そして、通常は、本人とその代理人の弁護士、調停委員2人、そして担当の裁判官・書記官以外が調停に立ち会うことはありませんし、できません(父母兄弟など家族も原則立会不可)。場所も、裁判所ごとに多少広さの違いはあるものの、法廷ではなく、調停室という、大体5畳前後の小さな部屋で話をします。つまり、裁判ドラマや映画のように、法廷でお互いが自分の主張をするわけではないのです。
さらに、担当の調停委員が、夫と妻の話を交互に聞いていく方法で進められますので、夫と妻が向き合って直接に話し合いをするわけではありません。調停委員が夫婦一方の話を聞いているとき、もう一方は別室で待機します。待機室も夫婦で別室が用意されていますので、調停中に夫婦が顔を合わせることもありません。ですから、夫婦だけでは話し合いがうまくいかず協議離婚はできない場合でも、夫婦の間に調停委員が入ることで、比較的冷静に話をすることができるので、調停でまとまることもあります。
なお、調停の時間は、通常は1回あたり2時間ほど予定されますが、長ければ半日ほどかかることもあります。
Q:調停はどこの裁判所でするのですか?
A:調停は、原則として、調停を申し立てられた側の住所地を管轄する家庭裁判所ですることになります(夫婦で合意があればその裁判所)。
例えば、神戸に住んでいる妻が、広島で別居中の夫に対し、調停を申し立てた場合は、調停を申し立てられた側である、夫の住所地を管轄する広島の裁判所で調停が行われるということです。
ただし、妻が仕事をしながら子育てをしているなどの事情で、広島の裁判所までどうしても行くことができない場合などには、神戸の家庭裁判所にその理由を書いた書類を提出することで、例外的に神戸の家庭裁判所で調停をすることを認めてくれる場合もあります。
Q:調停には必ず出席しないといけませんか?
A:結論から言うと、出席した方が良いです。
確かに、調停に出席しなかったからといって、勝手に離婚させられてしまうわけではありませんし、刑罰を科されることもありません。しかし、婚姻費用の分担請求の申し立てがされている場合には、調停が審判という手続きに移行し、裁判官が欠席者の言い分を聞くことなく、強制的に婚姻費用を決めてしまうこともあります。
さらに、刑罰ではないものの、裁判所から「過料」という5万円以下の金銭制裁を課される可能性も理論的にはゼロではありません。何より、調停を欠席し、調停が不成立になると、相手は、次に離婚訴訟を起こすことができるようになります。離婚訴訟を起こされたにもかかわらず、無視し続けると、今度こそ、裁判所の判決によって強制的に離婚させられたり、相手の言い分通りの慰謝料などが認められてしまいます。
このように、調停を欠席すると、後々、様々な不利益を被る可能性がある以上、基本的に調停には出席した方が良いでしょう。
そもそも、調停は、裁判所という第三者に間に入ってもらうものの、あくまで当事者同士の話し合いの場です。話し合いの場なのですから、調停に出席したからといって、自分の意に反して無理やり離婚させられたり、お金を払わされたりするわけではありません。ですから、まずは調停に出席してみて、とりあえず相手の言い分を聞いた上で、自分の言い分も主張してみましょう。その後の方針を決める一番のヒントになります。
家庭裁判所が指定した調停期日には予定が入っていてどうしても行けないという場合には、事前に家庭裁判所に連絡をして事情を説明すれば、期日を変更するか、1回目はとりあえず申立人の話だけを聞いて、2回目からは双方が出席できる日に期日を入れるなど、調整をしてもらうことができます。電話1本入れれば済む話なので、連絡しておきましょう。
なお、調停は、本人以外は、原則として弁護士でなければ同席できませんので(家族も原則不可)、もし、お一人で出席されるのがご不安であれば、離婚調停の実績豊富な当事務所の弁護士へご依頼下さい。